毘沙門さまとの出会い(14)四国のお城での私
私は阿波の国のお城に住んでいました
広い座敷の前に松の木だけのお庭があり、松の緑色がとても鮮やかで美しかったことを覚えています。
その庭には花が咲く木は全然なく、松と石で造作された見事な庭園でした
私は以前から、着物の姿の女の人が松のお庭の前にたたずんでいる光景を幻のように見ていました。
後に、それが自分自身だと知りました。
城主は私の父でした
父は外出している事が多く、帰ってくると大声で私の名前を呼び、探していたようです。
大股で歩き回り「しの、しの」という声が聞こえます。
私が時々お城を抜け出していたからです
私はおにぎりをたくさん持って、お城の外にいる貧しい人達に配りに行ってました。
父からは危険だからと止められていましたが、母はとても慈悲深い人で
こっそりおにぎりを用意してくれてました。
私は父から怒られても、目を盗んで城外に出るので、父は私を探し回っていたようです
やはり前世の私もアクティブ!
私の部屋はお城のすみっこにあり、子供の時から一人で過ごすことが多く(乳母みたいな人がいたようです)
時々父と母が訪ねてきました。
3歳位の頃でしょうか、父の膝の上で私はお人形を抱いていて、母がその隣に座っている光景を覚えています。
おにぎりを配っていたのは18歳前後
着物姿の私が、仏間に正座して厨子の中の毘沙門さまに手を合わせている姿をよく見ました。
仏間は板の間で、戸も障子ではなく板でしたので、開けた時の外の明るさが印象的に残っています。
今年も庭の芍薬が咲きました
毎年1番に毘沙門さまにお供えします、お部屋に芍薬の香りが漂っています
今年は特に香りが高いようです。